「秋ナスは嫁に食わすな」という言葉、よく聞きますよね。
意味については諸説あります。秋ナスは美味しいので、憎い嫁には食わさない。秋ナスは美味しいけど、毒性のアルカロイドを含有し、健康を害する恐れもあるので、大切な嫁に食べさせてはならない...etc.
いずれの意味をとったとしても「秋ナスはとても美味しい」というところから派生しているようですが、実は私、恥ずかしながらナスを秋まで育てたことがまだないのです...
美味しい秋ナスをなんとしても自分の手で育ててみたいと考え、試行錯誤しながらやっています。
この記事では、私の家庭菜園でのナス栽培実績と、秋ナスを収穫するために実践している工夫についてご紹介します。
・アンドン仕立ての方法
・ジュートヒモを使った誘引方法
・コンパニオンプランツ(マリーゴールド)について解説
・電子レンジを使った簡単調理法
・根切りと更新剪定の方法
・簡単な調理方法、調理例
2022年度 ナス栽培タイムライン
冒頭にも記載しましたが、私はまだナスを秋まで栽培した実績がありません。
なぜかというと...
スーパーで簡単に手に入る野菜であり、ナスというものにあまり思い入れが湧かず、これまではあまりきちんと手入れをしていなかったため、栽培の面白さに気づいていなかったから。
今シーズンは最初からきちんと栽培してみようと思い立ち、本やネットから知識を仕入れて実践してみたところ、思いのほか美味しいナスが出来たため、今更ながらナス栽培の面白さに気づいてしまった感じです。
故事になるほど美味しい秋ナスまでたどりつきたく、試行錯誤しながらやっています。
今シーズンのこれまでの栽培実績をタイムラインにしてみました。
- 2022/4/22
- 4/25
枝ぶりを観察し、3本仕立て(主枝+第1側枝+第2側枝)を決定
- 4/28
- 5/5
冷え込みが厳しいため、透明マルチで急ごしらえ
- 5/19追肥
株元にボカシ肥をひと掴み
- 5/28アンドン撤去
- 6/2
- 6/3下葉剪定
以降、適時下葉を剪定
- 6/7
- 6/17追肥
マルチ内にボカシ肥をひと掴み
- 6/23
小ぶりだが2本収穫、自宅で簡単レンジ調理
- 6/254本収穫、追肥
- 7/17
追肥、萎れた葉の処理など
- 7/20
- 7/29
- 8/10
実付き具合良好
- 8/23
- 10/3
- 10/26
苗を購入し菜園に定植
ミニトマト(アイコ)と同じく、ナスの種はとても小さくて、発芽させるのが結構難しいんですよね。
発芽したところで、ひ弱で寒さにすぐやられてしまい、消滅してしまったり...
ゴールデンウィーク前に、自宅近くの農協直売所に買い物に行った際、手ごろな苗を見つけ、購入しました。
ミニトマト(アイコ)、ピーマン と一緒にそれぞれ1株ずつ購入。
苗を購入するメリットは以下のとおりです。
- 本葉が出るくらいまで育っているので、容易には枯れない
- 病気に強い種を台木として、その上に接ぎ木されているので、病気に強い
- 発芽&苗育成の労力と時間を考慮すると、コストパフォーマンスが高い(つまり苗がとても安いということ)
脇芽かき、支柱立て
定植から3日後、畝に無事に活着したことを確認したあと、株元に補強として支柱を1本挿しておきました。
枝ぶりを観察し、主枝と第1側枝、第2側枝の計3本を伸ばしていくことにしました。
ナスは3本~4本仕立てにする事が多いのですが、早い時期に枝ぶりを観察して、どれを伸ばしていくか決定しておいたほうが、後から迷わずに済むと思います。
ある程度育っていくと、自然に元気の良い枝が目立ってくるので、コレとコレだなというのが見えてきます。
1番花を摘花
私も初めて栽培したときは失敗したのですが、1番花は早めに摘花したほうが良いです。
というか摘花しないとダメです。
どうしても「もったいない」とか、「せっかく花をつけたのに可哀そう」とかいう感情が芽生えてしまうのですが、この花を放っておいて良いことは一つもないです。
1番花は、かなり早い段階でついてしまうもので、これを放っておくと実がついてしまい、栄養がそちらにとられてしまうため、株が成長しなくなってしまいます。
成長期で優先すべきは果実ではなく、「株全体(根、茎、葉)の成長」なのです。
アンドン仕立て
ゴールデンウィークに入ったというのに暖かくならない...というか寒い。特に朝晩。
寒さから守るために、アンドン仕立てにすることにしました。
アンドン仕立てとは、使用済みの肥料袋などで株の周りを囲んで防寒する手法の事です。
こんなので大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、これでじゅうぶん朝晩の冷気から株を守ることができます。
他の作物も数株アンドン仕立てにしたため、適当な肥料袋がなくなったので、猫のトイレ砂用の袋で代用しました。
5月いっぱいは、アンドン仕立てのままでいきたいと思います。
第1側枝と第2側枝 ひも吊り誘引
収穫量アップを目指して、主枝以外に第1側枝と第2側枝 計3本の枝を伸ばしていきます。
今回、ミニトマトで採用した、ひも吊り誘引をナスでも試してみる事にしました。
ジュート麻のヒモを、第1側枝と第2側枝にらせん状に巻き付けて補強しながら、誘引していきます。
ナスはミニトマトと違って、枝が固いので必要ないかもしれませんが、そんなに面倒な作業でもないので、やってみることにします。
マリーゴールドを同畝に播種
コンパニオンプランツという言葉をご存じでしょうか?
ざっくり言うと、「植えておくだけで、害虫を寄せ付けない効果をもつ植物の事」だと思っていただければ良いかと思います。
代表的なものは、マリーゴールド、ナスタチウム、ローズマリー、カモマイルなどがあります。
ハーブ系や、菊類が多いように思います。
カモマイルは、どちらかというと害虫(特にアブラムシ)を寄せ付ける場合が多いのですが、「作物の代わりに犠牲になってくれる」役割を持っていると言われています。
私は、マリーゴールドを多用します。
理由は栽培が簡単だから。
基本、雑草なので強いです。滅多なことでは枯れないので、芽を出しさえすれば成功と思って良いかと思います。
マリーゴールドの根が、ナス科作物につく線虫(ネコブセンチュウなど)を寄せ付けないと言われています。
守りたい作物の近くに、マリーゴールドの種を蒔いて育てていきます。
初収穫&調理
結構りっぱなナスが収穫できました。
さっそく、ほかに採れた野菜(きゅうり、インゲン)と一緒に調理しました。
私が良くやる、電子レンジを使った超簡単レシピをご紹介します。
①ナスを乱切りにして
②創味のつゆ20ミリℓを準備
③耐熱容器にナスを入れ、ラップふんわりかけて600Wで3分 ⇒ 創味のつゆを加えてかき混ぜ ⇒ 2分チン ⇒ 2分ほどそのままで余熱をとおす
④蕎麦の上にほかの野菜とトッピング
いや~、うまい!とろとろで絶品です。
樹勢が少々弱っているため、様子見
6/23の初収穫以降、しばらくは好調でしたが、7月に入ったころから徐々に樹勢が弱まってきました。
写真をみると判りますが、葉がだいぶ萎れています。
ナスによくある「半身萎凋病」かと思いましたが、症状の特徴が少し違うようにみえます。
全国的な猛暑の影響もあるかと思われますが、こまめな追肥&水遣り、弱った葉の処理など、出来る事をやって、様子をみます。
根切り&更新剪定
樹勢がなかなか復活しないため、根切りと更新剪定を行なうことにしました。
この2つの作業は、秋ナス収穫のためには実施しておくべきもので、夏バテやスタミナ切れで疲れた株の枝葉と根をいったん切ることで、新しい枝や根を発生させて、リフレッシュさせることができます。
ナスは、ちょっとやそっとのストレスでは枯れない強い野菜です。
そういう特徴を活かした独特の栽培技術といえますね。
やり方は以下のとおりです。
根切り
株元から30cmほど離れた場所に、スコップの刃を根本まで入れて、地下の根を切ります。
私は株を中心にして円形に全周を切っています。
マルチを施している場合でも、そのままマルチの上からズブリといってしまいましょう。
スコップを入れた隙間に化成肥料を追肥します。
更新剪定
ナスの枝の、1/3~1/2ほどの長さにまで切り詰めます。
そのときの樹勢に応じて剪定する長さは変えましょう。
樹勢が強いようだったら、思い切って長めに切り詰め、弱そうだったらソフト目に。
花弁の状態で、肥料を調節
肥料が株に効いているかどうかは、花弁の状態で確認できます。
正常な花弁は、中心にめしべが1本ピヨーンと長く出ていて、その周りをおしべが取り囲んでいます。
めしべがおしべよりも長い状態が正常です。
もし逆だったら肥料が足りていないサインですので追肥を行いましょう。
私はこのタイミングで追肥と、苦土石灰を畝間に施しました。
三角ホ―で、畝間の中耕もやっておきましょう。
肥料の効きが良くなるだけでなく、土中への酸素浸透が良くなるようです。
樹勢の復活を確認
8月になり、樹勢が徐々に復活してきました。
実付きも良好のようです。
秋ナス、十分期待できそう。
分家を作って収穫量アップを狙う
ちょうど風に振られて折れた枝を発見したので、分家を作って収穫量アップを狙いたいと思います。
トマトでもやったのですが、うまくいけば収穫量は2倍になりますので、やらない手は無いです。
やりかたを以下まで
①折れた枝の根元をカッターナイフで斜めにカット。
②ペットボトルなどに水を入れて差す。
③日陰でそのまま3日。ほんの少しでも、新芽みたいなのがあれば大丈夫。
④畝に定植。十分に水を遣る。
なお、③の時点で根は出ませんが、新芽みたいなのがほんの少しでもあれば大丈夫です。
このまましばらく様子をみてみる事にします。
新芽が出ていたので、うまく活着したと思っていたのですが、成長しませんでした。日陰に置いておく時間が短かったのかもしれません。また次回チャレンジしてみたいと思います。
秋ナスが実をつけはじめた
10月に入ると、暑さが一段落して、一気に秋めいてみました。
ナスも、涼しさに呼応するかのように樹勢が回復し、一気に7つほど花弁をつけ始めました。
恐らくあと10日ほどで実がつくと思われます。
夏に収穫したものと味がちがうのか、今から楽しみです。
今シーズン終了宣言
残念ながら今シーズンのナス終了宣言となりました。
10月中旬より気温が下がり続け、実の太りが鈍りがちになっていましたが、未熟な状態のまま実割れしてしまいました。
数個実がついている状態でしたが、これから霜の季節に入ることもあり、これ以上の成長が見込めないため、今シーズンのナスはこれにて終了する事にしました。
秋ナスを賞味したかった…ちょっと残念ですが、来年の楽しみにとっておきたいと思います。
ナスさん、長期間に渡って楽しませてくれて有難う。
株を引っこ抜いたら、7月に実施した「根切り」時点から根が殆ど伸長してませんでした。これでは肥料をいくらあげても吸い上げる事は難しかったのではないかと思います。「更新剪定」を強くやり過ぎてしまったかもしれません。周りの区画の方に聴いたところ、この地区では更新剪定はやらない人が多いとの事でした。この反省を踏まえて次シーズンは剪定を軽くしてみようと思ってます。
まとめ ~【2022年度】ナスの栽培実績~
いかがでしたか?
この記事では、私の家庭菜園でのナス栽培実績と、実践している工夫についてご紹介しました。
- 2022年度 ナス栽培タイムライン
- 苗を購入し菜園に定植
- 脇芽かき、支柱立て
- 1番花を摘花
- アンドン仕立て
- 第1側枝と第2側枝 ひも吊り誘引
- マリーゴールドを同畝に播種
- 初収穫&調理
- 樹勢が少々弱っているため、様子見
- 根切り&更新剪定
- 花弁の状態で、肥料を調節
- 樹勢の復活を確認
- 分家を作って収穫量アップを狙う
- 秋ナスが実をつけはじめた
- 今シーズン終了宣言
7月に中旬にいったん樹勢が弱ったものの、リフレッシュ作業が功を奏し、8月に入って樹勢が復活、9月いっぱいは楽しめました。
10月に入って、念願の秋ナスを…と期待していたのですが、有終の美を飾ることはできませんでした。
来シーズンは、今回の反省を踏まえてもっと上手に育てていきたいと思っています。
家庭菜園で栽培している他の作物についても、下記でご紹介してますので、是非ご覧になってください。